前回、ダンサーは歌詞がない曲で踊る場合、言葉のパワーを借りずに表現すると書きました。
さて、そろそろ本題です。
ダンサーは何を使って「表現」するのでしょうか?
私がぱっと浮かぶのはこんなところです。
(1)テクニック
(2)顔の表情(目線)
(3)リズムの取り方
(4)音の強弱
(5)動きの強弱
(6)間
(7)呼吸
上から順番に、お客さんへ”伝わりやすい”のではないかなと思います。
ダンサーにとっての”伝えやすさ”に比例するとは限らないのが興味深いところです。が、今回はこの件については触れません。
では、さっそく一つずつ考えてみようと思います。
まず、(1)テクニックと表現の関係について。
例えば、すごく嬉しいことがあって、はしゃいでいる人がいます!
その人の気持ちを表現するとき、
①下を向いてじっとする
②ジャンプをいっぱいする
どちらが合うと思いますか?
(どちらが正解という訳ではありません)
たぶん、95%位の方が②を選ぶのではないでしょうか!?
では、頑張ってもう一つ!
Aさんは体をふにゃふにゃさせながら、くるくる回っています。
Bさんは背筋をすっと上に伸ばして、くるくる回っています。
AさんとBさん、どちらが元気な人だと思います?どちらが強いキャラクターだと思いますか?
Bさんと答える方が多いと思います。
テクニックで表現するというのはこういう感じです。
2つ目の例に出てきた「回る」って、すごく練習が必要な技ですし、見せ場にもなりえます。これ以外にも、高く脚をあげたり大きくジャンプしたりするのは、誰が見ても“すごい”のでお客さんの目を惹きやすいです。
けれど、何の意図もなく回転が入っていることはないんです。何かしら表現したいストーリー性やキャラクターの個性を、お客さんに上手く伝えるために入れられるものです。
こういったことの繰り返しで作品は作られていきます。
ダンサーは日々練習を重ねますが、それは技がしたくて練習するというより、技によって表現の幅を広げたいと思ってやっているんですね!
では、次回は(2)顔の表情(と目線)について考えてみます。 ぜひ、お付き合いお願いいたします。